KATONゲージC56分解

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 出た。出ましたよ。なんだかしみじみうれしいです。ここ数年の高性能蒸機の発売はもちろんうれしいことなのですが、大型機ばかりとなるとうちではちょっと荷が重い。この位の小さな機関車が欲しかったのです。
 スロー走行の実力がD51、C62と変わらずで、机上の小さなエンドレスで遊べるのがとても楽しいです。牽引力に関してはうちではあまり重要視していませんが、軽さの割りに結構牽く様です。そして走行音は無音に近い静かさです。


 では、例によって機構部を分解して見ていきます。

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 D51、C62に比べ、フライホイールが小さいです。ウォームギアはモーターに直結のように見えますが、内部がジョイントカップになっており、モーター側のジョイントが差し込まれる構造です。

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 試作品の動力部が公開されたときに、太いウォームあたりに妙な違和感を感じました。ジョイントを収めるため太いのだろうと予想はしていたのですが、特に深くは考えていませんでした。手にして分解して見て驚きました。

 まぁそれは置いておいて、とりあえずばらして行きます。

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 動輪の押さえ板を外したところです。軸箱の周辺はD51標準型に準じた構造です(D51498は軸箱の向きが逆、車輪の裏側がへこんでいる)。

 第3動輪のギアが、なんだか細かい感じがします。

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 どんどんばらします。フレームのレリーフ、手が込んでいますね。写真では見えませんがモーションプレートは回り込んだ部分までしっかりディテールが浮き出してあります。

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 で、車軸のギアは実際細かいです。M0.25(モジュール0.25)です。D51、C62は共にM0.3、20枚のものでした。その前の9600も同じギアでした。共通の部品を使ってコストを抑えているのでしょう。しかし、だとしたらなぜC56で新規のギアを導入したのでしょうか?

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 ギアはまたD51に比べ径も大きくなっています。ギアの歯数はちゃんと数えていませんが、外周寸法(7.7mm)から判断して29枚だと思います。

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 フレームを割って見ると、ウォームに対する歯だけM0.3で、後はM0.25と、細かくなっています。
 M0.3、23TとM0.25、11Tのダブルギアから25Tと34Tのアイドラーを経て第三動輪の29Tに伝動する構成ですから、計算するとなんとおよそ60:1のギア比となります。D51のギア比は30:1でしたから倍のギア比です。
 D51とC56は動輪径は同じで、モーターも同じものに見えますから、半分の速度で走ることに・・・!?

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 実は上の計算は普通の「1条ウォーム」での話です。なんとこのC56、螺旋が2つの「2条ウォーム」でした。螺旋が二つあるのでウォームの太さの割りにねじれの角度がきつく見えます。試作品を見たときの違和感はこれでした。

 1条ウォームは1回転でウォームホイールを1歯進めるのに対し、2条ウォームは2歯進みます。このギア構成なら1条ウォームだとモーターが60回転で動輪1回転ですが、2条ウォームですからモーター30回転で動輪を1回転させることになり、結局D51とほぼ同じ減速比となります。

 しかしなぜこんな構成にしたのでしょう?抜群すぎるほどのコストパフォーマンスの製品なのに、わざわざ新規の部品を作ってまで2条ウォームにする訳は?
 非常に気になるのですが、素人にはわからない設計や工程上の難しい話がからんできそうです。分解して気が付いたところはこの位です。

 蛇足ながら、重加工の工作派の方なら、通常の「1条ウォーム」を使っての60:1の高ギア比の伝動メカに、さらに小さなワールドのモーターを利用してのNゲージ古典機やナローの動力のベースに転用を考えるかも知れませんね。

 以下、分解ついでにいじったところを書きます。

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 ネット上でよく言われていますが、先輪や第一動輪のバネがきつく、頭の上がった「のけぞり」状態の個体が見られるようです。うちに来た2台はどちらもこの「のけぞり個体」だったので、バネを曲げて姿勢を直しました。
 上の写真はバネを調整した後のものですが、ひっくり返すとまだ第一動輪が持ち上がっています。この位で線路に置くと水平になります。先輪のバネも影響するようならカットして弱めます。多分第一動輪のバネを弱めるなら、先輪も一緒に弱めることになると思います。

 バネはある程度効いていないと集電や牽引力に不具合が出るはずです。微妙な調整になるので自信が無ければ手を出さないのが良いとは思います。しかし水平が出ていないのは、私を含め非常に気にする人も多いのではないかと思います。是非とも早急に改良を望みます。

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 調整する場合は自己責任で。フレームを割れば調整は簡単ですが、其処までしたくない場合は動輪押さえ板を外し、第一動輪を持ち上げ、板バネの裏を針などで支えてピンセットの先などで押して曲げます。

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 C56となるとバック運転も見所の一つですから、前部のカプラーは是非付けたいところです。うちに来た2台は共にR140をスローで安定して走りましたが、このカーブでバック運転となると、カプラーは先台車にマウントするのが無難です。

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 自動開放のことも考え、2台のうち1台はマグネマティックカプラーを先台車に取り付けました。「9600に新型モーター移植」の記事でも出しましたが、付属の重連用カプラーを取り付ける突起を棒状に整形し、そこにカプラーを嵌めて接着しました。

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 カプラーの首が出るエンドビームは切り欠いて対処しました。9600でやった時は抵抗が無かったのですが、このC56は細かく出来ていて、ナイフで切るのにちょっと躊躇しました。私はドカーンと2台買ったので冒険できました。

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 先頭からの眺めはこんな感じになります(右側)。切り欠きの幅は大体R177曲線上での首振り範囲です。R140通過時でも、カプラーの首はエンドビームの切り欠きに当たりますが、そこでつっかえてもカプラーのバネが効いて先台車はカーブを切ることが出来ます。速度が落ちる、内側車輪が上がるなどの苦しそうな状態は見られなかったので、そのまま使っています。

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 重連可能になったので新型モーター移植の9600も繋いで三重連をやってみました。ピッタリ協調して滑るように走るのは気持ちがいいです。まぁ机上で三重連はちょっとやりすぎですが、何台かあるのなら一つくらいカプラーを台車マウントにしてみてもいいかと思います。なかなか快調です。

 この機関車、この出来で実売価格8000円程度と言うのは本当に安いです。C56は小編成の運転に持って来いです。客車も貨車も、ミキストも似合います。小レイアウトの主役にぴったりの形式、その上優れた運転性能を備えています。それで8000円です。

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 ちょっとしたストラクチュアでも置けばたとえ机上の組線路でも結構感じが出せます。レイアウトを作るのは大変とか、リアルな景色より組線路での記号化された運転の方が面白い、といった方もいると思います。
 気が向いたときに組線路の小さなエンドレスを机上にポンと置く。その線路にC56と貨車の4~5両も繋げばなかなか見栄えのする列車になります。ボギー台車の客車を長く繋げるのは結構ホネですが、2軸の貨車は線路に乗せるのも簡単。すぐに出してすぐにしまえる手軽さがいいです。小さなエンドレスでも、安定したスロー走行が運転の楽しさを増加してくれます。

 「のけぞり個体」はもちろん、扱い上の欠点になっている、立て付けの不安定なデッキのつかみ棒あたりを改良して(もしくは外して)入門用セットで売り出せば、この趣味を長く続けたい、と思わせるに充分なものになるのではないでしょうか。とにかく夢が広がる機関車です。

 この調子でC11、C58なんかもリニューアルしてくれるといいですね。

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